エナメル革のお話

「エナメル革」という単語からイメージするものは何でしょうか?
一般的にまず連想するものは、フォーマルな場で履くエナメル靴だと思います。
ピカッと光ったエナメルの輝きは、フォーマルなタキシードとすばらしく調和が
とれ、その美しさがより引き立ちます。
また、近年では女性物の革製品において、そのエレガンスなファッション性から
様々なアイテムに使用されている素材のひとつでもあります。
今回はそんなフォーマル&エレガンスの代名詞「エナメル革」についてお話を
しましょう。

前述の通りエナメル靴はフォーマルな場では欠かすことのできない必須アイテムです。
ではなぜタキシードにエナメル靴を履くようになったのでしょうか?
一説には昔の舞踏会などで、相手のドレスの裾を靴墨で汚すことの無い様、
エナメル靴が履かれるようになったといわれています。

シューケア情報:エナメル革のお話また、日本ではエナメル革の通称で親しまれていますが、欧米では
「パテントレザー:Patent Leather」とも呼ばれています。
語源は1800年代にアメリカで皮革製造業者がエナメル素材を
開発し、特許(パテント:Patent)をとったことに由来します。
ちなみにR&Dで取り扱っているエナメル革のケア用品
M.モゥブレィ ラックパテント」の名称は、
“エナメル”を意味するドイツ語の「ラック」と英語の「パテント」を
組み合わせた造語であります。

それでは、エナメル革の特徴について少しご説明します。
簡単に言えば皮革の上にウレタンの樹脂を吹き付けてある素材です。
間違いなく“革”であるのですが、表面的には“革”ではありません!?
少し違うかもしれませんが、革の上に柔らかいアクリルやプラスティックを
貼り付けているような感覚だと思ってください。
つまり一般の革靴のようにお手入れをして柔軟性が出たり、革の雰囲気が出る
ものではありません。

また、生産の面では、表面を樹脂で覆ってしまう為、下地の原皮はキズやムラが
あっても隠れてしまいます。
よってガラス革同様に量産しやすい皮革なのです。
1990年代半ばにヨーロッパで世界初の狂牛病(BSE)が流行した時には、
処分された牛の原皮が大量に市場に出回ったため、量産しやすいエナメル革や
ガラス革が大流行したという、本当とも嘘ともとれるような話もありました。

そんなエナメル革のお手入れ方法や保管の注意点ですが以外に知られていません。
素材自体からまぶしいほどの光を放ち表面がツルっとしているので、印象的には
汚れにくそうな素材ですが、実際にはホコリや指紋などが付着しやすく長い間
お手入れをしなければ汚れは落ちにくくなります。
しかし、お手入れはシンプルです。エナメル専用の「M.モゥブレィ・ラック
パテント(無色のローションタイプ)」を柔らかい布に取り、全体を磨きこんで
いきます。
表面の曇りや汚れが取れて美しい光沢がきれいに蘇ります。
ホコリもラックパテントを使用した後であれば、空拭きで簡単に取れるように
なります。
ケアにそれほどの手間はかかりませんので、あとはマメさが重要なポイント
です。

その他の注意点としては、靴の場合はエナメル素材の特性から、履きジワが深く
入ります。
そこからヒビ割れを起こしやすいので、保管の際は、しっかりとシュートリーで
シワを伸ばしてください。
また、暑さや寒さにも敏感で、夏場の湿気が多く暑い時期になるとお客様から
「エナメル靴の表面がベタ付いてしまったのですが・・・?」
「エナメルのバッグが他のバッグとくっついてしまいました・・・?」
など、お助けコールが大変多くなります。
暑さで表面の樹脂が溶け出してしまいますので、残念ながら直す方法はありません。

また冬の寒さも大敵で、極度な寒さはひび割れの原因となります。
いずれにしても保管には細心の注意が必要です。
つきなみではありますが、適度な温度、湿度の場所で保管しながら、定期的に
お手入れを欠かさないことがエナメル製品を長持ちさせるコツなのです。
繰り返しになりますが、エナメルは表面が樹脂系で仕上げられていますので、
キズが付いた場合の補色、補修が不可能です。
エナメル用のローション等で黒色用のものが存在しますが、ほとんどキズは
直りません。
ダンスの時に相手のドレスの裾を汚さないということから、フォーマルに
履かれるようになったエナメル靴なので、黒色のローションを使用すると
その趣旨に反する様な気持ちにもなります。
R&D的な見解からすれば、エナメル革のお手入れは無色一本で十分なのです。
「靴墨で相手のドレスの裾を汚さない・・・。」
古き良き時代の由来、なごりは大切にしたいものです。

 

 

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