真鍮の靴べらのお話

「金属の靴べらは扱っていますか?」

最近は素材指定でシューホーンを買いに来る方も増えてきました。
理由を聞いてみると、金属素材をご希望の方の一番の理由はやはり強度です。

靴べらといえばプラスティックが安価で、大量生産しやすいため一般的です。
しかし、強度や耐久性の面ではメタル製に軍配が上がります。
また、見栄えがプラスティックの場合は見劣りするため、ファッション的な面からも
メタル製のシューホーンをご希望の方が増えてきたようです。

ここ数年で当社においても金属製のシューホーンのラインナップが充実してきました。
その中でもKing of Metalといえば、なんと言っても真ちゅう製のシューホーンです。
黄金色にきらめくその輝きは本真ちゅうだけが持つ美しさです。
また、昔から真ちゅうの素材そのものに根強いファンがついているため、シューホーンに
おいても人気があります。

そこで今回は真ちゅう製の靴べら(ブラスシューホーン)についてお話をいたします。

まず、真ちゅうという素材はどのようなものなのでしょうか?
簡単に言えば、真鍮(しんちゅう)は、銅と亜鉛の合金です。
一般的ではありませんが「黄銅(おうどう)」とも呼ばれています。
ただ厳密にいえば、銅と亜鉛の混合の比率によって、丹銅(たんどう・別名ゴールドブラス)、
七三黄銅(別名イエローブラス)、黄色六四黄銅等のように名称が変わります。
また、英語ではブラス(BRASS)といい、諸説ありますが、音楽のブラスバンドは、
金管楽器が真鍮でできていたことからブラスバンドと呼ばれるようになったという説もあります。

素材そのものはソフトで加工しやすい特性があるため、真ちゅうは古くから世界各国で
使われてきました。
今でも欧州のアンティークショップには、真ちゅうの製品が数多く販売されています。
そして、日本でも多くの真ちゅうの製品がありますが、イメージしやすいのは伝統的な
トラッドショップや老舗デパートの看板に使われているものだと思います。

百貨店の入り口付近にある真鍮看板は良く磨きこまれていて、その光沢に歴史と
伝統を感じます。また、身近な所では、日頃私たちが使っている5円玉も真ちゅう製です。

弊社では数年前から真ちゅう製の靴べらの取扱いをしています。
本真鍮の板を曲げて作るソリッドブラスシューホーンは日本の職人が一本一本
丁寧に作る逸品です。
光沢感のみならず、すべりが良く靴べらの素材としては最適な素材の一つといえます。

本来真鍮素材は、材質が柔らかい部類に入りますが、真ちゅう職人が作った、
ソリッドブラスシューホーンは厚みと長さのバランスが絶妙で使用する際に上手く指に
引っ掛かるように計算されていて、曲がりにくい形状です。

その結果、素材から放たれる重厚な光沢感や素材の価値観などと相まって、高評価を頂いております。

また、真鍮製品は、使用しているうちに黒ずみ(くすみ)が出てきますが、その黒ずんだ感じが、
真ちゅうらしくて良いと言う方もおります。
また、その反面でたとえくすんだとしても真ちゅう磨きで磨き込むと新品の光沢とは違った、
素晴らしい輝きがでてくる、“輝き”と“くすみ”の両面を楽しめる稀有な金属です。

ちなみに、真ちゅうの磨き剤は、日本磨料工業さんの金属磨き「ピカール」がおススメです。
金属磨きのロングセラー商品で、品質とコストパフォーマンスが良く、店頭等でもご使用に
なっている方も多いかと思います。
柔らかい布に少量とって軽く擦るだけでくすみが取れて光沢感が蘇りますので、
楽しくお手入れをしながら愛着がわいてきます。
真鍮製品はヨーロッパでは古くから幸せをまねく金属として人気を博しています。
それにあやかってソリッドブラスシューホーンをポケットや鞄にしのばせて幸せを呼び込む
のも、真ちゅうの楽しみ方の一つかもしれませんね。

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