ブライドルレザー(ロー引き革)のお話

革小物・革製品好きな男性が好む皮革素材って何だと思いますか?
・・・個人的な意見ですがコードバンとブライドルレザー(ロー引き革)が
その2大人気素材だと思います。
根拠は無いのですが、その美しさと独特な仕上がり、そして特殊な製法が
こだわりをもつ方々のハートをつかむ理由のようです。
コードバンについては以前のシューケア情報で取り上げましたが、
今回はコードバンと肩を並べる人気素材の一つ「ブライドルレザー」について
お話いたします。

まずブライドルレザーのブライドル【BRIDLE】って何でしょうか?
辞書で調べると
 名詞:馬ろく《馬の頭につけるおもがい・くつわ・手綱(たづな)の総称》
とあります。
これからわかるように元々は馬具の素材として使われていたものです。
そういえば当社のメイン商品の一つであるサドルソープのサドル【SADDLE】も
馬の鞍がその語源ですので、馬具と革というのはとても密接な関係ですね。

シューケア情報:ブライドルレザー(ロー引き革)のお話そして、ブライドルレザーのイメージはなんと言っても
イギリス・英国でしょう。
ブライドルレザーを主力な素材としているホワイトハウス
コックス社もイギリスの会社ですし、ブライドルレザー
そのものを生産している有力タンナー(皮革製造
メーカー)の多くはイギリスです。
コードバンがアメリカを象徴する皮革であることを
考えると対極的で面白いところであります。

ではブライドルレザーとはどのような皮革なのでしょうか?
素材は成牛の革を使用しています。フルグレインカウハイドと呼ばれて
いますが、フルグレインとは牛革のぎん面(皮革の表面、上部)と繊維質を
含んだ表層部分のことで、カウハイドは生後2年以上の牝牛の革という意味です。
この革は厚くて丈夫という最大の特長があり馬具などに使用するには最適な素材
の一つといえます。

そしてこの丈夫な牛革を鱈(タラ:COD)の油でなめしてから、ロウ分
(蜜ロウなど)を染み込ませてブライドルレザーは作られます。
ちなみにイギリスの伝統的ファーストフード「フィッシュ&チップス」の
あの魚フライはタラ(コッド)です。
だからイギリスでコッドオイルがたくさん取れて、なめす時に使っていたの
かな・・・等と想像力を駆り立てます。
・・・あまり関係ないかもしれませんが(笑)。

そして、およそ10週間以上の長期に渡りロウを染み込ませるので、
新品のブライドルレザーには“ブルーム”と呼ばれる白いロウ分の粉が表面に
付いています。
ある意味この白い粉がブライドルレザーの最大の特色かもしれません。
このように製造にかなりの手間をかけ、特別なロウ分や油分をふんだんに
使用していますので、皮革そのものの価格はかなり高価になります。
必然的にブライドルレザー製品も高額ですが、製造工程などが理解できれば
それなりに納得がいくと思います。

本題のお手入れ方法についてですが、実はそれほど難しくはありません。
新品のうちは表面の白い粉をホースヘアー(馬毛)ブラシなどでブラッシング
して光沢感を出して下さい。
ブライドルレザーの製品を購入すると、よく販売員の方がブラシで粉を落として
くれるのですが、その後もロウがしっかりと皮革に馴染んでいるので、表面から
徐々にロウが出てきます。
よってしばらくの間はブラッシングだけで十分です。

余談ですが・・・新品のブライドルレザーの儀式のような、白い粉を最初に
落とす作業を自分で行ないたい方は販売員の方がブラッシングする前に申し出た
方が良いかもしれません。。

話がそれましたが、ブライドルレザーに含まれているロウ分も永久的ではありません。
時間の経過とともにロウ分が枯渇してきますので、乾燥が進みブラッシング
だけでは光沢が出なくなってきます。
その時はM.モゥブレィ クリームエッセンシャルでロウ分と潤いを与えながら
ブライドルレザーのもつ素晴らしい光沢感を蘇らせることができます。

また、前述しましたが表面はとても丈夫なのですが、皮革が厚い分凹みのような
傷は入ってきてしまいます。
でも、それもブライドルレザーの味だとご理解下さい。
上記の通りお手入れはそれほど難しくありませんので、是非一度、ブライドル
レザーの革小物を持ってみてはいかがでしょうか。

ブライドルレザーは素材一つで、持っている人が“キラッと輝いて見える
”類まれな皮革素材の一つです。
よく磨き込んだブライドルレザーの革製品を持っていれば、それだけであなたも
英国的なジェントルマンになれる!・・・かもしれません。

【M.モゥブレィ クリームエッセンシャル】

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